経営者は、いずれ引退を考えなければならない時期が訪れます。そのきっかけとなるのが、病気や加齢による気力・体力の衰えや、同世代の経営者の引退などです。
また経営者が高齢化するほど、ビジネスモデルの再構築が遅れ、業績悪化につながっているとの分析結果もあります。
これらのことから、後継者へ事業を引き継ぐ(事業承継)ための準備は、早めにしておくことに越したことはありません。なぜなら、事業承継を完成させるためには、5年~10年の準備期間が必要と言われているからです。
事業承継の流れは、大まかには次のようになります。
- 現状の分析
- 相続財産の評価
- 後継者の選定
- 承継方法の決定
- 事業承継計画の作成
- 計画実行・事業の引継ぎ
この流れの中で、特に重要な部分は、中小企業の命運は社長で決まると言われるように、後継者の選定となります。
後継者の候補は、一般的には次の範囲から検討することになります。
- 現経営者の親族
- 親族以外の経営幹部や従業員
- 取引先や金融機関から招く
また、近年では後継者不足により、他社へ事業を売却(M&A)するケースも増えています。
事業承継の主なメリットは次のとおりです。
- 大切に育て上げた事業を信頼できる後継者にバトンタッチさせることにより、さらなる事業の発展を期待することができる。
- M&Aの手法で他社へ事業を売却する場合は、金銭的な対価を取得することができる。
- 2018年から10年間の限定で、事業承継税制に特例が設けられました。
この特例は、一定の要件を満たすと、事業承継に基づく自社株式の譲渡についての相続税・贈与税が事実上ゼロになります(だだし、2023年3月31日までに、都道府県に対して「特例承認計画」という書面を提出して認定を受ける必要があります)。
事業承継は、株式の譲渡・役員に関する登記などの法務分野をはじめ、税務・労務など様々な分野の手続が必要なので、各分野の専門家が結集しないと完遂できません。
また、事業承継の手法は、何種類かあり(主に株式譲渡・事業譲渡・会社分割などがあります)、どの手法を選択するのかの判断も重要です。
そのため、まずは法務の専門家である当事務所にご相談頂くと、信頼できる他分野の専門家(税理士、社会保険労務士など)と連携しておりますので、安心して事業承継を進めていくことが可能です。