他の手続との比較-遺言

家族信託(信託契約)と遺言の主な違いは、以下のとおりです。

 

1.家族信託

  1. 認知症の発症前に行う手続であり、すぐに効力を発生させることができる。
  2. すぐに効力を発生させることができるので、将来の認知症発症による財産凍結のリスクに備えることができる。
  3. 家族2人以上で行う手続であり、また、できるだけ家族関係者全員で話し合い、納得した上で内容を作ることになるので、家族間の争いを予防することができる。
  4. 二次相続(次の代の相続)以降の資産承継先を指定することができる。
  5. 本人(委託者)が単独で家族信託を終了させることができないので、家族間での安心材料となる。

 

2.遺言

  1. 認知症の発症前に行う手続であるが、効力は亡くなった後に発生する。
  2. 亡くなった後に効力が発生するので、生存中の財産管理機能はない。
  3. 誰にも相談せずに単独ですることもできるので、相続発生後、相続人の間で争いが起こるリスクがある。
  4. 一代限りの資産承継先しか指定できない。
  5. 認知症の発症前であれば、いつでも本人が単独で中止(撤回)することもできるので、家族間での不安材料となる。

参考ですが、遺言の撤回の方法は、次のような方法があります。

  1. 新たな遺言で、「前の遺言の全部もしくは一部を撤回する」と記載する。
  2. 新たな遺言の内容で、前の遺言の内容と抵触する内容を記載した場合
    (例えば、前の遺言で自宅をAに相続させると記載していたが、新たな遺言ではBに相続させると記載した場合)、その部分は前の遺言が撤回されたことになる(Bの相続が優先する)。
  3. 遺言に記載の財産を処分した場合(例えば、アパートをAに相続させると記載していたが、亡くなる前に第三者に売却してしまった場合)、この財産は相続させることができなくなるので、この部分は撤回されたことになる。
  4. 遺言に記載の財産を破壊した場合(例えば、Aに相続させる予定の腕時計を壊してしまい修理不能になった場合)、相続させることは不可能となるので、この部分は撤回されたことになる。
  5. 前の遺言が自筆証書遺言もしくは秘密証書遺言で、それを破棄した場合、破棄された部分は撤回されたことになる。ただし、公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されていることから、手元にある遺言を破棄しても撤回とはならない。

以上のことから、認知症対策を必要とせず、かつ、財産の承継先だけ決めておきたい場合は、遺言をすることでニーズは満たされます。

しかし、認知症対策・将来の遺産相続争い(争族)の予防・法的な安定性を求める場合は、家族信託を主軸として相続対策を進めていくことをお勧めします。

 

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