家族信託をおすすめするケース3-財産の中で不動産の割合が高い

財産の中で不動産の割合が高い相続税対策の視点から言えば、財産の配分は現金より不動産の割合を高くする方が、減額の特例措置が使えることや、資産の圧縮(現金と不動産が同じ額であれば、不動産の方が財産の評価が低くなること)ができるため、一般的には有効となります。

しかし、その反面、将来の相続税の納税資金が不足するリスクがあります。

このリスクを解消するために、まずは税理士などの専門家に相談して、将来の納税額を計算する必要があります。その結果、納税額に対して手持ちの現金が不足している場合は、不足の納税資金を確保しておく必要があります。

そこで、不動産を売却して納税資金を捻出することが1つの選択肢になりますが、売却して現金化すると、譲渡所得税がかかることもありますので、専門家に相談しながら税金リスクの少ない不動産を選定することになります。また、節税効果の少ない不動産(居住用や事業用などに使っていない土地など)から順番に売却するのも効果的です。

この売却する不動産の選定から実際に売却が完了するまでの期間は、長期間になることが多いことから、その間に認知症の発症リスクが生じてきます。

認知症を発症した後は、成年後見制度を利用して、成年後見人が親に代わって不動産の管理や売却をすることになります。

しかし、成年後見人の役目は、親の財産を守ることですので、必要最低限の管理・処分しかできなくなります。そのため、相続税対策のために不動産を売却することは、事実上不可能となってしまいます(相続税対策自体は、金銭的な面から言うと、親のためでなく、親が亡くなった後の相続人のためになるので)。

そこで、そのような状況になる前に、家族信託で認知症による財産凍結を予防することが可能です。

この場合の家族信託の活用例としては、認知症の発症の前に次のような信託契約書(必要箇所以外は割愛)を作成することになります。

①信託の目的 第○条記載の財産を信託財産として管理運用及び処分等を行い、受益者の安定した生活と福祉を確保するとともに、資産の適正な管理運用を通じて次代への円滑な資産承継を図ることを目的とする。
②委託者
③受託者
④受益者
⑤信託財産  (1)売却予定のある不動産
 (2)現金
⑥信託事務の内容 (1)受託者(子)は、不動産を受託者の裁量で第三者に賃貸することができる。
(2)受託者は、不動産については、信託の目的に照らして相当と認めるときは、売却することができる。
(3)受託者は、信託財産である金銭をもって不動産の公租公課(固定資産税など)、保険料、修繕費等の必要経費を支払う。

このようにしておけば、受託者である子は、信託契約の効力が発生した時から次のことを行うことができます。また、その後に父が認知症を発症した場合でも、引き続き同様のことを行うことができます。

  1. 売却できるまでは、賃貸する
  2. 相当と判断した場合、不動産を売却する

家族信託の効力を最大限に発揮させるためには、上記の他にも、個々に応じて(家族関係、資産状況、実現したい内容など)、様々な検討事項があります。そのため、まずは司法書士などの専門家にご相談の上、進めていくことをお勧めします。

 

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