信託報酬とは、受託者が信託財産からもらう報酬のことです。
例えば、委託者が親で、受託者が子である場合に、信託契約で信託報酬の額を決めることによって、子が信託報酬をもらうことができます。
家族間での契約ということから、無報酬とすることも考えられます。しかし、大部分の信託契約は、長期間にわたり信託事務を行うことなることが予想されますので、その間の受託者のモチベーションの維持が重要となってきます。そのため、信託契約で信託報酬を決めておき、受託者のモチベーション維持の1つとすることは、現実的な点から大事な要素となります。
また、相続税対策の観点からすると、信託報酬は合法的に親の財産を子に渡すことになるので、将来の相続財産の減少につながり、相続税の節税対策となります。この点からでも、信託報酬を設定しておくメリットはあります。
信託報酬の適正額は、特に相場がある訳ではありませんが、相続税対策のため、極端に高い報酬額を設定してしまうと、贈与とみなされ、課税が発生するおそれもあるので、税理士などの専門家に相談されてから、決めることが大事です。
また、参考となる相場として家族信託と同じ財産管理制度である成年後見人の報酬(月額2万~6万円)を目安にして、報酬額を決めるという考え方もあります。
家族信託の効力を最大限に発揮させるためには、上記の他にも、個々に応じて(家族関係、資産状況、実現したい内容など)、様々な検討事項があります。そのため、まずは司法書士などの専門家にご相談の上、進めていくことをお勧めします。