他の手続との比較-その他・家族信託の注意点

その他・家族信託の注意点として、委託者・受託者・受託者に関するものをそれぞれ説明します。

 

※委託者に関する注意点

委託者の地位は、原則として、相続により承継されます。
そのため、委託者の死亡により相続人が次の委託者となりますが、相続人が複数であれば、委託者の地位も複数となり、その結果、複雑な法律関係になるおそれがあります。

また、委託者の相続人と受益者が異なる場合、お互いの間で利害関係が反する可能性があり、複雑な関係とおそれがあるので、当初に定めた家族信託の目的が達成できないことも想定されます。

そこで、委託者の地位に関しては、信託契約で別段の定めができるようになっており、「委託者の地位は相続により承継しない」との定めを設けることができます。これにより、相続による委託者の地位の承継を回避することができるので、受益者の地位が安定することになります。

 

※受託者に関する注意点

①資格要件

未成年者・成年被後見人・被保佐人は、信託財産の管理が難しいため、受託者になることができません。

 

②分別管理義務

信託財産は、自分の固有財産と分別して管理しなければなりません。
例えば、次のような方法で管理します。

※不動産など登記ができる財産は、「信託登記」をしなければならない

※動産(金銭を除く)は、外形上区別しておく

※金銭は、計算を明らかにしておく(帳簿の作成や信託専用の口座を開設して管理する)

 

③無限責任

家族信託よる信託取引で生じた債務(借入など)については、信託財産で支払い(返済など)をしますが、信託財産で支払いができなくなった場合は、自分の固有財産で支払いをしなければならない責任(無限責任と言います)が生じます。

ただし、債権者との間で、「自分の固有財産には責任を負わない」などの合意をすれば、この無限責任を回避できますので、このような合意ができない債務は、極力負わないようにするのが賢明です。

 

※受益者に関する注意点

委託者=受益者とせず、受益者を第三者にすると、経済的価値(例えば、自宅に住む権利やアパートの家賃をもらう権利など)が委託者から第三者である受益者に移動するので、多くのケースでは贈与税が発生するおそれがあります。詳しくは「家族信託の注意点-自益信託と他益信託」で説明しています。

家族信託の効力を最大限に発揮させるためには、上記の他にも、個々に応じて(家族関係、資産状況、実現したい内容など)、様々な検討事項があります。そのため、まずは司法書士などの専門家にご相談の上、進めていくことをお勧めします。

 

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