成年後見制度は、認知症の他、知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が不十分な方を保護し、支援する制度です。
この制度は、このような状態になったとしても、すぐに利用しないといけない訳ではありません。一般的には、次のような必要に迫られた場合に利用されているのが現状です。
- 預貯金の解約をしたいが、銀行から判断能力が不十分と判断され、成年後見人を立てないと解約ができないと言われた場合
- 介護・障がい者施設へ入所したいが、施設から判断能力が不十分と判断され、成年後見人を立てないと入所の契約ができないと言われた場合
- 所有不動産を売却したいが、司法書士から判断能力が不十分と判断され、成年後見人を立てないと売却ができないと言われた場合
- 遺産分割協議に参加したいが、弁護士などの法律家から判断能力が不十分と判断され、成年後見人を立てないと協議が成立しないと言われた場合
- 要介護認定の申請手続、病院への入院手続など身上監護の必要がある場合
- 一人で高額な契約や不利益な契約をするおそれがある場合
また成年後見制度は、次のデメリットがありますので、その必要性とデメリットを考慮した上で、利用するべきかどうかを慎重に検討することが大事です。
- 成年後見人に司法書士などの専門家がなる場合、毎月一定の報酬(2万円~)を支払う必要がある。
- 本人のため以外には、原則、財産を使用することができなくなる。
(できない例)子供に現金を援助する。 - 相続税対策ができなくなる。
(できない例)相続財産の評価を下げるため、自己資金でアパートを購入する。
贈与税の非課税枠を利用して、子供に贈与して財産を減らす。
相続税の非課税枠を利用して、生命保険契約をする。 - 本人の症状が改善する、もしくは亡くなるなど、現状に変更がない限り、途中で成年後見制度を中止することができない。
- 本人に次の制限が発生する。
1.印鑑登録をすることができない。
2.次の職に就くことができなくなる。
弁護士、司法書士、弁理士、行政書士、公認会計士、税理士、医師、薬剤師、社会福祉士、介護福祉士。
3.株式会社の取締役や監査役になれない。
上記のとおり、成年後見制度を利用するかどうかの判断基準は、難しい面も含んでおりますので、まずは司法書士などの専門家にご相談の上、判断されることをお勧めします。