約40年ぶりに相続法の大改正がありました。
いち早くこの改正相続法を活用することにより、これからの争族対策をより円満に運ぶことができることになりますので、有効に活用していきたいところです。
初回は、2019年1月13日から既に実施されています、自筆証書遺言(自分で書く遺言)の方式が緩和された内容について取り上げます。
主な遺言の方式として、自筆証書遺言と公正証書遺言(公証役場で作成する遺言)の2つありますが、自筆証書遺言を作成する場合、改正前であれば、全部の内容(本文、財産目録、日付、氏名)を手書きで作成する必要がありました。
しかし、改正法では、そのうち「財産目録」については、手書きで作成する必要がなくなりました。
具体的には、次のような選択肢があります(いずれか1つでも可能です)。
1.ワープロで入力したものを紙に出す
2.他人による代筆
3.財産が不動産の場合は、登記簿謄本のコピーをつける
4.財産が預金の場合は、通帳のコピー(口座名義人の記載部分と残高の記載部分の2つ)をつける
そして、これらの用紙に遺言者が署名・押印すれば、財産目録は完成です。
もし、用紙が2枚以上ある場合は、全部の用紙に署名・押印する必要はありますが、それでも今までは財産全部を手書きする必要があったことを考えると、大幅に労力が減ったことになります。
また、登記簿謄本や通帳のコピーをつける場合は、書き間違いが起こることもありません。
公正証書遺言は、自筆証書遺言よりは確実な遺言と言えますが、証人が2名必要であり、かつ、公証人手数料(数万円~)がかかります。
証人に遺言の内容を知られたくない場合や証人を2名確保できない場合、費用の負担を抑えたい場合などは、自筆証書遺言を利用することになりますが、そのような方には、ありがたい改正となりました。
次回は、「結婚してから20年以上の夫婦間の自宅の贈与・遺贈が有利になった改正」を取り上げたいと思います。