家族信託の種類

●家族信託の種類は、次の3つとなります。

  1. 信託契約
  2. 遺言信託
  3. 自己信託

このページでは、この3つの家族信託を順番に説明していきます。

 

①信託契約とは

信託契約とは信託契約とは、契約により信託を成立させる形態で、最もよく利用される効果的・画期的な手法です。一般的には、「家族信託(家族のための信託)とは」でご紹介したとおり、親(委託者=受益者)が子(受託者)に財産の管理・処分を託す契約がよく使われる手法です。

こうしておくと、万が一、親が認知症を発症されても、子は契約の中で定められた財産の管理・処分することを継続することできます。

さらに画期的なことは、この契約の中に遺言と同じ効果がある機能を追加することができることです。

例えば、信託契約の中で、親の死亡により契約を終了させ、その財産の帰属者(残余財産の帰属権利者と言います)を子に指定すれば、財産を親から子へ承継することができます。この効果は、遺言と同じ効果となりますので、信託契約書に記載した財産については、遺言を作成する必要がなくなります。

 

②遺言信託とは

遺言信託とは、遺言により信託を成立させる形態です。

通常の遺言は、「財産を誰に渡すか」までを定める制度ですが、遺言信託は「財産を誰かに渡して、さらにその財産を管理する仕組み」まで定めることができます。

①の信託契約と違い、全ての財産を信託財産として記載することが可能です(信託契約では、「全ての財産」という記載ができず、1つ1つ財産を特定しなければなりません)。そもそもの性質が遺言なので、遺言した人が亡くなるまで信託の効力が発生しませんし、それまでは何度でも内容を書き替えることができます。

ただし、家族信託は、生前から効力を発生させ、認知症対策に備えることに最大の効果を発揮しますので、この遺言信託を利用するケースは、非常に少ないものと思われます。

 

③自己信託とは

自己信託とは、自分が「委託者=受託者」となり、他の人(受益者)のために、財産を管理・処分する形態です。

①の信託契約と②の遺言信託は、自分以外の人が受託者となって、財産の管理・処分をしてもらいますが、自己信託は自分が受託者となり、自分1人で発動することになるので「信託宣言」とも言われます。また、自分1人で信託を成立することが可能なため、要件が厳格化されており、必ず公正証書などの書類で作成しないといけません。

活用する事例としては、例えば、自分が所有しているアパートを認知症の妻や障がいの子に譲渡して、その家賃収入や売却代金により、生活をしてほしいと考えたとします。しかし、仮に譲り受けられたとしても、その後の管理・処分が困難となるおそれがあります。

そこで、譲渡ではなく、自己信託を利用して、認知症の妻や障がいの子を受益者として、アパートから発生する家賃・売却代金などの利益を受けさせた上で、管理・処分の権限は自分に残す場合(自分が委託者=受託者)に利用されています。

ただし、この自己信託は、財産の経済的価値(アパートから発生する家賃・売却代金などの利益)が所有者(自分)から受益者(妻や子)に移動するため、贈与があったものとみなされ、課税の問題が発生します。そのため、税理士などの専門家に相談の上、慎重に行うことが大事です。

 

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